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取引相場のない株式等に係る相続時精算課税制度の特例の創設・・・ 公認会計士（税理士）・吉井清信
中小企業の早期かつ計画的な事業承継促進の観点から、平成19年税制改正において、
①従来の相続時精算課税制度では対象とならない60歳（本則65歳）以上の中小企業オーナー経営者が、
②後継者である子供（代表者となる場合等に限る）に自社株式を贈与する場合に、
③非課税枠が3,000万円（本則2,500万円）となる特例が創設されています。
以下の適用要件及び留意事項を十分に検討の上、今後の事業承継対策にお役立て下さい。
１．特例適用要件
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(1) |
年額贈与要件 |
1銘柄の同族株式等の価額の合計額が500万円以上。 |
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(2) |
贈与者要件 |
①同族法人の代表者であり、②発行済株式総数及び議決権の過半数を有す
る、60歳以上の直系尊属である推定被相続人であること。 |
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(3) |
受贈者要件 |
①原則居住者である個人で、贈与者の直系卑属である推定相続人であり、
かつ、贈与を受けた日の属する年の1月1日において20歳以上の者。
②この特例の選択に係る贈与税の申告期限から4年を経過する日（受贈者
又は贈与者が4年を経過する日までに死亡した場合にはその死亡の日、
その同族法人が解散等した場合には一定の日））において、発行済株式
総数及び議決権の過半数を有し、その会社の代表者としてその会社の経
営に従事していること。 |
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(4) |
特定同族株式要件 |
議決権の制限がなく、取引所に上場されていないことその他一定の要件を
満たす株式及び合名会社の出資等であること。 |
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(5) |
特定同族法人要件 |
その法人に係る特定同族株式等のその贈与の時（③にあっては、当該贈与
の直前を含む。）において、①代表者が２人以上いないこと、②清算中の
法人でないこと、③発行済株式に相当する金額として財務省令が定める金
額が20億円未満であること、④種類株式発行会社である場合にあっては、
いわゆる「黄金株」についての定款の定めを設けていないこと。 |
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(6) |
確認書提出要件 |
確認日の翌日から２月以内（提出期限）に、受贈者が上記(2)贈与者要件
①及び②を満たし、かつ、同族法人が上記(5)特定同族法人要件①～④の
すべてを満たしていることを証する確認書を納税地の所轄税務署長に提
出することが確実であると見込まれること。 |
２．留意事項
取引相場のない株式等に係る特例の利用に当っては、従来の相続時精算課税制度（住宅取得資金の贈与の特例を含む）との以下の相違点を十分に比較検討し、対象となる株式等につき、どの制度を選択したら、事業承継対策上最も有利かを判断することが重要です。
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住宅資金贈与特例 |
取引相場のない株式等の贈与特例 |
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特別控除 |
3,500万円 |
3,000万円 |
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適用期間 |
平成19年12月31日まで |
平成19年1月1日から平成20年12月31日までの2年間 |
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親の年齢制限 |
年齢制限なし |
60歳以上 |
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受贈者要件と贈与財産要件 |
受贈者20歳以上であり、贈与財産に要件があることは共通 |
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但し、一般の相続時精算制度には贈与財産要件はなし。 |
尚、本制度と特定受贈同族会社株式等の相続税の課税の特例（相続税課税価格の10％を軽減）との併用はでき
ません。
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