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「婚姻費用を支払わずに兵糧攻めともいえる振る舞いを続けた原告が有責配偶者にあたるとした事例 (東京家裁令和4年4月28日)」・・弁護士・高井陽子
本件は、性格や価値観等の不一致があったこと、別居して4年以上が経過していること等を理由に婚姻関係は破綻に至っているとして、夫(原告)が離婚等を請求したところ、妻(被告)は、夫の主張を争うと共に、仮に婚姻関係が破綻に至っているとしても、これについて主として責任があるのは、妻との婚姻生活を投げ出し、婚姻費用の分担を一切せずに兵糧攻めで離婚に応じさせようとしている夫である、有責配偶者である夫の離婚請求は認められる余地はない、として夫の離婚請求の棄却を求めた事案です。
本件の夫は、婚姻費用分担調停でも支払いに応じず、同審判が確定したにもかかわらず、離婚裁判の口頭弁論終結に至るまで、一切婚姻費用の支払いをしないだけではなく、妻子の居住する住宅は妻子に賃貸したとして東京地裁に未払い賃料の支払いを求める訴え提起をしました(当該訴訟は地裁と高裁で請求棄却となり確定)。
裁判所は、4年6ヶ月を超える別居期間は、婚姻関係の破綻を基礎付ける事情であるとしつつも、その婚姻関係が破綻するに至った原因は、夫が、別居に踏み切るにとどまらず、婚姻費用の分担義務を負っていることを顧みることなく、兵糧攻めともいうべき勝手な振る舞いを続け、婚姻関係の修復を困難たらしめたことにあったと認めるのが相当である、としました。その上で、有責配偶者である夫の離婚請求は、婚姻期間と比較した別居期間の短さ、未成熟子の存在、妻の経済的過酷な状況等を理由に信義誠実の原則に反するとして、棄却されました。
本件は、不貞行為やDVという一般的な有責配偶者のケースではない事案について、有責配偶者と認め、離婚請求を棄却したものとして参考になります。
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