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気になる裁判例

「性別変更におけるいわゆる【子なし要件】の合憲性」・・弁護士・水野賢一

 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の第三条は、家庭裁判所が性別の取扱いの変更の審判をすることができる場合の要件を定めています。現行法の要件は、@「二十歳以上であること」A「現に婚姻をしていないこと」B「現に未成年の子がいないこと」の三つです。このうちの「現に未成年の子がいないこと」の要件が、いわゆる「子なし要件」といわれるものです。
 この要件は、かつて「現に子がいないこと」とされていました。そして、「現に子がいないこと」を要件とすることの合憲性について、最高裁判所は、平成十九年十月十九日の判決で、「現に子のある者について性別の取扱いの変更を認めた場合、家庭秩序に混乱を生じさせ、子の福祉の観点から問題を生じかない等の配慮に基づくものとして…憲法十三条、十四条に違反するものとはいえない」と判断しました。
 最高裁判所で合憲の判断がなされたものの「子なし要件」の見直しはなされ、平成二十年に現在の「現に未成年の子がいないこと」に変更されました。この変更された「子なし要件」の合憲性について、令和三年十一月三十日、最高裁判所が判断をしました。その理由は、いわゆる「子なし要件」が「憲法十三条、十四条に違反するものでないことは、当裁判所の判例の趣旨に徴して明らかである」というものです。


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