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「幼児教育・保育の無償化制度開始を理由とする婚姻費用分担減額」・・弁護士・高井陽子

 幼児教育・保育の無償化制度開始を理由とする婚姻費用分担減額が認められなかったもの(東京高裁令和元年11月12日決定・判タ1479号59頁)
 本件は、婚姻費用の分担に関し、原審において夫婦双方の収入を前提に標準算定方式に基づいて婚姻費用分担額を算定し、子の私立幼稚園の費用及び稽古事の費用について、標準算定方式で考慮済の学校教育費相当額を超過する額の2分の1相当額を加算する等したところ、支払義務者である夫が、令和元年10月から幼児教育・保育の無償化が開始されるから、私立幼稚園の費用を加算するとしても同月以降無償とされる費用相当額は控除するべきである旨主張した事案です。
 令和元年10月1日から、子ども・子育て支援法の改正により、幼稚園、保育所、認定こども園等の幼児教育・保育施設を利用する3歳から5歳までの子供達の利用料が無償化されることになりました。幼稚園については、無償化の月額上限が2万5700円であり、通園送迎日、食材料費、行事費などは、原則として保護者の負担になっています。
 本決定は、幼児教育の無償化は、子の監護者の経済的負担を軽減すること等により子の健全成長の実現を目的とするものである(子供・子育て支援法1条参照)として、このような公的支援は、私的な扶助を補助する性質を有するにすぎないから、上記制度の開始を理由として令和元年10月からの婚姻費用分担額を減額すべきであるとする抗告人(夫)の主張は採用できないとしました。
 本件は、幼児教育・保育の無償化が婚姻費用分担金に与える影響について判断を示したものであり、今後、新たに行政によって子供への経済的支援等が実施された場面でも参考になるものです。


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