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気になる裁判例

「有期雇用労働者の労働条件」・・弁護士・関 友樹

 昨年4月より、働き方改革関連法が順次施行され、本年4月からは中小企業においても、同一企業内において正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の個々の待遇ごとに不合理な待遇差を設けることが禁止されています(短時間・有期雇用労働法8条)。
かかる規定に関連して、有期雇用労働者の労働条件について重要な最高裁判例が、令和2年10月13日と15日に5件分言い渡されました。今回は紙幅の都合上、「退職金」に関する判例を取り上げます。
すなわち、メトロコマース事件において、退職金に関する無期労働者と有期労働者との間の差異が、旧労働契約法20条の定める不合理な相違にあたるかが争われ、最高裁は、「職務内容」。「配置等の変更の範囲」、「その他の事情」という3つの要件に当てはめて不合理性を判断し、結論としては、退職金に関して、「正社員に対する退職金が有する複合的な性質やこれを支給する目的を踏まえて」、「退職金の有無に係る労働条件の相違があることは、不合理であると評価することができるものとはいえない」と判断しました。
最高裁は5つの判決について、それぞれ労働者の登用制度について言及しており、今後は有期から無期への転換制度の存在が重視される可能性はあります。さらに同条を承継した短時間・有期雇用労働法8条においては、旧労働契約法20条の定める3つの要件からさらに「適切と認められるもの」を考慮するという縛りがかかっており、解釈に影響を及ぼすとも考えられます。


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