■ Web版SUM UP


気になる裁判例

「自筆証書遺言において、花押(かおう)では、遺言の有効性は認められないとした最高裁判例」・・・弁護士・吉川 愛

 自筆証書遺言には、遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならないとされています。印が押されていない自筆証書遺言は無効な遺言書となり効力が発生しません。花押とは自書による署名のようなものであり、いわゆる「印」ではありませんが、この花押が書かれていることは、印を押すのと同視されるとして、地裁、高裁の判決では遺言書の有効性が認められました。

 しかし、最高裁はこれと異なる判断を示しました。花押を書くことは印章による押印とは異なること、自筆証書遺言の方式として民法が押印を要するとした趣旨は、遺言の全文の自書とあいまって、遺言者の同一性及び真意を確保するとともに、重要な文書については作成者が署名した上で押印することによって、文書の作成を完結させるという我が国の慣習ないし法意識に照らして文書の完成を担保することにあるところ、花押の自書は押印にあたらず、花押を書くことによって文書を完成させるという慣行ないし法意識はないことを理由に、花押のみで印鑑のない自筆証書遺言は、他の様式を全て満たしていても有効な遺言書とならないと判断しました。

 過去には帰化した人物の英文の遺言書には、押印の文化を持たない人物の遺言書であるという事情から自筆公正証書遺言として認められた事例もあります。

 印鑑を押していない書類は完成していない、という日本の慣習、法意識があることを前提にされた判断です。皆さまはどうお考えになるでしょうか。


[ TOPページ ]  [ 業務内容・費用 ] [事業所案内 ] [SUMUP ] [ お問い合せ

  (c)copyright akasakamitsuke sogo law &accounting office. all rights reserved.