■ Web版SUM UP


気になる裁判例

「当たり馬券払戻金の所得分類と外れ馬券の必要経費性」・・・弁護士・花田行央

 当たり馬券払戻金については,競馬自体の射幸性からして,継続的源泉とはならないために,いわゆる競馬常連の者であっても,その所得は一時所得に分類され,必要経費についても,当たり馬券の購入費のみで,外れ馬券の購入費については,これを認めないという解釈が実務上統一した見解でした。

 本件は,過去の競馬データを元にソフトウェアにより,当たり馬券を予想し,自動的に馬券を購入し,恒常的に利益を生み出していた者が,この当たり馬券払戻金による所得を申告していなかったとして,単純無申告罪で起訴された事例です。
 本件において,判決は,一回的な所行為としてみた場合に所得源泉と認めがたいものであっても,これが連続して継続的行為となるに及んで所得源泉と認められるに至る場合即ち所得が質的に変化する場合のあることも否定することはできないとして,本件被告人の当たり馬券払戻金を雑所得とし,外れ馬券購入費についても,その必要経費性を認めました。

 本件は事例判断であり,ソフトウェアを使用した反復継続的な馬券購入による当たり馬券払戻金の全てが,雑所得として認められる訳ではありませんし,競馬常連者が反復継続的に馬券を購入していたとしても,その所得が雑所得となると実務的解釈の変更を求めたものとも評価できません。
 むしろ,原則としては,当たり馬券払戻金による所得は,一時所得であることを認めていることからしても,これが雑所得として認められることは例外的なことであることと言えます。
 現に,本件被告人は,反復継続して,自動的に一日1000万円以上の馬券を購入し,その総額は3年間で28億円以上となり,その態様も機械的・網羅的で,これにより年間多額の利益を得ていたという,従前の競馬購入方法の態様とは全く異なるものでした。

 本件地裁判決は,確定前のものであること及び刑事事件における判断であることに一定の留意が必要ですが,競馬馬券の購入方法が時代と共に変遷したことにより,その所得分類も変化しうることを認めたものとして,意義のある判断だと思われます。


[ TOPページ ]  [ 業務内容・費用 ] [事業所案内 ] [SUMUP ] [ お問い合せ

  (c)copyright akasakamitsuke sogo law &accounting office. all rights reserved.