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気になる裁判例

業務委託契約や個人請負契約で働く人も労働組合法上の労働者・・・弁護士・水野賢一

 労働者が労働組合を組織して,使用者と対等の立場で労働契約を締結する団体交渉をすることの助成などを目的とする法律に労働組合法があります。この法律において,労働者とは,職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者とされています(3条)。このため,雇用契約によって使用される者ではなくても,使用者との関係で使用従属の関係に立ってその指揮監督のもとに労務に服し,その労働の対価として受ける報酬によって生活する者は,労働組合法上の労働者とされています。

 もっとも,雇用契約ではなく,業務委託契約や個人請負契約で働く人については,多くの場合,業務提供の諾否の自由があるとか,業務遂行の時間的場所的拘束がなく指揮監督を受けてはいないなどの理由で,労働者には当たらないと判断されてきました。

 このような中で,本年の4月12日,最高裁判所は,実態を丁寧に検証して,業務委託契約と個人請負契約で働く人について,労働組合法上の労働者に当たるという二つの判決を出しました。

 ひとつは,住宅設備機器の修理補修等を業とする会社と業務委託契約を締結して,その修理補修等の業務に従事する個人事業主についてです。
 もうひとつは,年間を通じて多数のオペラ公演を主催する財団法人との間で期間を1年とする出演基本契約を締結した上,各公演ごとに個別公演出演契約を締結して公演に出演する合唱団員についてです。今後は,このように実態を丁寧に検証する判断が期待されるところです。


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