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「貸金業者による貸金支払請求・弁済受領の不法行為性」・・・弁護士・中島徹也

 貸金業者が利息制限法所定の利率を超えた利息を借主から長期間に渡り受領し続けた結果、借主において本来支払う義務のない過剰な支払い(過払い)を行っていたという場合があります。
 この場合、貸金業者は、貸金債権が存在しないにもかかわらず貸金の支払請求及び弁済の受領を行っていたことになりますが、このような貸金業者の行為に不法行為が成立するかについて、最高裁第二小法廷平成21年9月4日判決が最高裁として初めて判断を示しましたので、これを紹介いたします。

 本判決は、貸金業者による事実上の請求ないし受領が不法行為になるのは、「その行為の態様が社会通念に照らして著しく相当性を欠く場合に限られる」、すなわち、違法性が強い例外的場合のみであると判示し、その例示として、「請求ないし受領が暴行、脅迫等を伴うものであったり、貸金業者が当該貸金債権が事実的、法律的根拠を欠くものであることを知りながら、又は通常の貸金業者であれば容易にそのことを知りえたのに、あえてその請求をしたりした」場合を挙げました。

 また、本判決は、上記の判断は、「当該貸金業者が過払金の受領につき、七〇四条所定の悪意の受益者である推定される場合」にも妥当すると判示しました。


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