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気になる裁判例

「建物賃貸人の不法行為責任が認められた事例」・・・弁護士・吉川 愛

 建物賃貸人が賃料の支払いを怠っている賃借人に対し、賃料の支払いを強制するために玄関の鍵を取り替えて賃借人の
立ち入りを禁止した行為に不法行為責任が認められた事例

 マンションの賃借人が何度も賃料を滞納することから、賃貸人は、賃借人の連帯保証人からの要望もあり、玄関の鍵を取り
替えて延滞賃料の支払いを強制し、払わなければ居宅に入れないようにしました。賃借人は一度は全額を支払い、部屋に
入ることができましたが再度滞納をすると、また玄関の鍵を替えられて家に入れない状態となりました。賃借人は玄関の鍵
の取り替えによって、居住権を侵害されたとして、慰謝料、逸失利益等の損害賠償請求を起こしました。

 お金を貸したり、売掛金が発生していたりしていて、相手がこれを支払わない場合、これを無理矢理脅して回収したり、相
手の持っている物を勝手に持ってくるような自力救済は法律的に認められておらず、回収する側の不法行為責任が発生する
ことがあります。権利行使は裁判所を通じて強制執行を行っていくこととなるのです。

 今回の件では、鍵を交換し、賃借人を建物から閉め出すことによって間接的に未払い賃料の支払いを促そうとした行為が、
賃借人の平穏に生活する権利を侵害する行為とされ、賃貸人に不法行為責任が認められました(大阪簡裁平成20年(ハ)
第4260号)。これによって、追い出されていた34日間の賃料相当額、宿泊した実費に加え、慰謝料として50万円の支払い
を命ずる結論となりました。

 このほかにも明け渡しを求めるための施錠の破壊、残留物の廃棄、鍵の交換などについても不法行為責任を認める判例
があります。支払わない賃借人に対しては責められる点が多々あるのはもちろんですが、過度な自力救済等は行わず、微
妙な場合は専門家に相談し、適切な手続を選択することが必要であることを示した判例です。


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