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気になる裁判例

「警察官が私費で購入した捜査メモの証拠開示 最決平20・9・30」・・・弁護士 市河真吾

 平成21年5月から裁判員制度がはじまり、原則3日の審理で公判を行うものとされます。そのため、公判前整理手続きが導入され、裁判所・検察官・弁護人間で証拠や争点の整理が行われます。

 画期的なのは、明文で弁護人の証拠開示請求が認められていることです(刑訴法316条の14、15、20)。強制捜査権をもつ捜査機関と弁護人との間の証拠収集能力には、雲泥の差があります。また、起訴後、検察はすべての手持ちの証拠を開示するわけではありません。開示されない証拠の中には被告人に有利なものも含まれている可能性があり、えん罪防止、公正な裁判のためには証拠の全面開示こそが要求されます。

 そこで、法は類型証拠開示請求という形で証拠開示を制度的に認めました。しかし、これが運用上制限されると有名無実と化します。

 ところが、本判例(最決平20・9・30)は、警察官が私費で購入した捜査メモ代わりにつかっていた大学ノートを弁護人の「主張関連証拠」(刑訴法316条の20)として証拠開示命令ができるとしたのです。これは「主張関連証拠」を緩やかに解し、全面的開示運用に展望を開くものといってよいでしょう。

 最近の実務における公判前整理手続きでも裁判所が検察官に対し広く開示を要請する傾向があります。裁判員裁判のためにも捜査過程の可視化、証拠開示といったオープンな手続きこそが、今後ますます重要となっていくでしょう。


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