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気になる裁判例

                   「小学校の教室内での子供の事故について、担任の教師の負う責任」・・・弁護士 高井陽子


 モンスターペアレントなどという言葉があり、学校での種々の問題が報道される昨今ですが、学校での事故の際に、担任教師に過失があるか否かの判断は難しいものです。この点、学校事故における担任教師の過失の有無につき、平成20年4月18日に最高裁判所の判断が示されました。

 事案は、A県の設置する小学校の教室内で、児童らが朝自習をしている際に、男子児童Bが自分のベストについたほこりを払おうとして頭上で振り回したところ、これが女子児童Cの右眼にあたり、Cが負傷したという事故について、C並びにその両親が、担任教師に生徒の指導監督義務違反等の過失があったと主張して、Aに対し、国家賠償法1条1項に基づく損害賠償を請求したというものです。

 教室内における突発的な事故の場合には、担任教師が事故の発生を予見し得たか否かが過失の有無の判断に際して重要な要素となってきます。

 原審では、担任教師は、本件事故のような行為もあり得ると予想して、事故の発生を未然に防止すべきであったとして、担任教師の予見可能性の範囲を広く解し、過失を認定しました。

 これに対し、本判決は、担任教師の予見可能性について、原審より具体的に、教室内の児童の様子や担任教師の状況、担任教師がCに対してとりたてて注意を向ける必要があったか、Bの行動が自然なものであり特段危険なものでなかったか等の具体的事情を判断し、担任教師がBの突発的な行動を予見することは困難であったとして、担任教師の過失を否定しました。

 本判決は、比較的最高裁の判例の少ない学校事故の事案について、担任教師の過失の有無につき、具体的な事情を挙げて突発的な児童の行動についての予見可能性を判断したものであるため、実務上も参考になるものです。



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