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気になる裁判例

       

「契約準備段階の注意義務」 ・・・ 弁護士・上田裕介

 契約準備段階における信義則上の注意義務違反を理由とした損害賠償責任が認められた平成19年2月27日の最高裁判決をご紹介します。

 機械メーカーであるXが、ゲーム機を製造し、XからY、YからAに販売する旨の契約をXYA間において締結しようとしていました。しかし、正式に契約締結しないままに、開発費はAが負担することを前提に、Xが開発、製造を引き受けることになりました。

 Xは、Aから正式な発注がないままに開発製造を進めることに難色を示しましたが、Yは、Aから正式な発注がされておらず、正式な発注がなされる保証もないのに、Xに対し発注を約束する書面を示すなどして、Xにゲーム機の開発、製造を継続させました。

 結局、Aが、ゲーム機の仕様の変更を後から要求したため、ゲーム機は基本設計から修正しなければならないことになって、XYA間の契約締結には至りませんでした。

 かかる事案において、最高裁は、契約交渉決裂の主たる原因は、YではなくAにあると認定しましたが、Yは、交渉決裂の主たる原因を負わなくとも、正式な契約が締結されるものと過大な期待を抱かせ財産的損失を生じさせたものであり、損害賠 償責任を負う旨の認定をしました。

 契約が締結されていなくとも、契約準備段階において相手方の信頼を裏切る行為をしたときに損害賠償責任を負うことがあり得るということは、これまでの最高裁判例においても肯定されています。

 本判決は、契約交渉決裂の主たる原因とはならない者であっても、契約締結上の注意義務違反が認定され得るという意味で、注目すべき判例であると思われます。

 契約締結交渉においては、相手方当事者に過大な期待を抱かせた上で信頼を裏切る等の事態にならないよう、慎重な対応が必要であると考えられます。


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