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気になる裁判例

親の責任どこまで? ・・・・・・・・・ 弁護士・松村博文

 最近、子の不法行為に関し、親の責任について、気になる判例がいくつか出されています。

 そもそも、子供が不法行為を行った場合、親の責任については、民法714条で、子供に責任能力がない場合には、監督すべき法定の義務者(一般には親権者=父母)が責任を負い、親権者が監督義務を怠らなかったことを立証しない限り、その責任を免れません。

 子供の責任能力は、通常、小学校卒業程度の能力があれば、足ります。
 最近の例としては、帰宅途中の会社員が路上で不良少年らに襲われ、植物状態となった事例で、16歳の少年らの父母にも子の監督義務を尽くしていないとして責任があるとされ、2億5000万円余りの損害賠償請求が認められました(横浜地裁平成15年8月28日判決)。
 また、中学校のいじめの問題に関しても、子供の喫煙、ピアス着用、粗暴行為等から早晩弱者に対するいじめ等に及ぶことも予見しえたにもかかわらず、放置したとして、父母の責任を認めています(さいたま地裁平成15年6月27日)。直接的には、いじめを知らなくても責任を負わされる点に留意が必要です。
 また、小学校2年生の池での溺死が、小学校4年生の加害児の強制によるものであるとして、親権者である母には責任があるとし、離婚後の親権のない父には、責任がないとしています(神戸地裁平成16年2月25日判決)。

 相対的に、監護者に対し、厳しい内容の判決の傾向にあり、親としての責任が問われる時代となっております。


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