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気になる裁判例

保証人 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弁護士・持田秀樹

 空クレジットの連帯保証人の責任が否定された事例(最高裁判所第一小法廷平成一四年七月一一日判決)

 売主と買主が示し合わせて、商品売買を装い、信販会社と立替払契約を締結し信販会社からから売買代金を騙し取る手口を空クレジットといいます。このような空クレジットに基づく立替払金支払債務を連帯保証した者の責任はどのようになるのでしょうか。

 この点について、従来の下級審の裁判例は、統一されていませんでした。しかし、昨年(平成一四年)七月に最高裁判所は、「商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから、商品売買契約の成否は、原則として、保証契約の重要な要素である」とした上で、商品代金の立替払契約が空クレジット契約である場合には、同契約上の債務を保証する契約の意思表示に錯誤があり、連帯保証契約は無効として、信販会社の連帯保証人に対する請求を棄却し、空クレジットの保証について、判断を示しました。これによって、以後は、下級審においても、空クレジットの連帯保証を原則として無効と判断することになると思われます。

 この判例は、空クレジットに関するものであり、空リースに関する最高裁判所の判断はまだ示されていませんが、空リースの場合も、空クレジットと同様に、商品が引き渡されていない、つまり賃貸借契約が成立していないわけですから、同様の判断になると思われます。とはいえ、このような詐欺に引っかからないようにすることが第一ですので、保証をするときは十分な注意が必要です。


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