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「デジタル領域での遺産相続」・・・ 弁護士・伊藤祐介

 亡き父がインターネット上で,収益化しているウェブサイトを運営していたのですが,相続の対象になるのでしょうか。

 結論としては,インターネット上のウェブサイトは相続の対象となると考えるべきです。
 民法の原則では,相続の対象となるものは「被相続人の財産に属した一切の権利義務」(民法第896条)です。具体的には,「物」である「有体物」(同第85条)や債権,物権等の「権利」は相続の対象となります。
 もっとも,ウェブサイトは「有体物」ではありません。しかし,これを被相続人の有していた「権利」として捉えるのであれば,細分化された複数の「債権」の集合体として考える方法がありそうです。
 また,ウェブサイトが相続の対象となると考えた場合,その価値の算定方法や遺産分割の方法等も考える必要があります。  例えば,ウェブサイトの収益化の程度が相当安定している場合は,事業体の相続の場合に準じてウェブサイトの価値を算定することもあり得ると思います。また,遺産分割の方法について,理屈の上では相続対象の権利を相続人間で共有とすることもできますが,以下述べる通り,対外的な権利者は1名であることが望ましいといえます。
 すなわち,被相続人が生前,ウェブサイトを運営していくにあたって,複数の契約関係が存在していたと推察されます(例えばドメイン取得関係,サーバー利用関係,ウェブページ制作関係,第三者のコンテンツの利用関係等)。これらの契約関係については,先ずは相手方事業会社等の契約書または利用規約等で,相続による契約上の地位の承継が認められているか確認する必要があります。そして,相続による地位承継が認められていた場合であっても,権利の共有が認められているかという点にも注意する必要があります。一般的には,仮に権利の共有が認められていたとしても,義務(費用の支払い)については代表者に単独で請求される扱いとなるように思われます。
 また,第三者のコンテンツの利用関係については,そもそも契約書等が存在していない場合や,コンテンツ利用許諾の前提が第三者と被相続人の人的関係を前提としている場合等もあり得るため,権利処理に一層の困難が生じる場合があり得ます。  しかし,特に第三者のコンテンツが相当程度収益化している場合等は,権利者に対して,しっかりと相続発生について通知等を行なっておかないと,今後の信頼関係にも問題が生じてしまうでしょう。
 なお,より詳細なデジタル領域での遺産相続に関して,当職が編集・執筆を行なった「Q&A デジタル領域の相続実務-クラウド上のデータ・オンライン資産・SNSアカウント・ポイントプログラム等-」という書籍が今般,新日本法規様から刊行されましたので,ご興味のある方はご笑覧いただけましたら幸いです。



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