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「遺留分侵害額請求について」・・・ 弁護士・高井陽子

 父が亡くなり、母に全て相続させる旨の遺言があるのですが、色々と思うところがあり、私も相続分を請求したいと思っています。父の相続人は、私と母だけです。遺言の有効性を争うつもりはないので、遺留分侵害額請求について、どのようにしたらよいか教えてください。

 遺留分制度とは、相続の場合に、被相続人が相続人のために、必ず相続財産の一定部分をなんらかの方法で保障する制度をいいます(新版注釈民法)。
  具体的には、兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分を算定するための財産の価格(民法第1043条1項)に、@直系尊属のみが相続人である場合には3分の1、Aそれ以外の場合には2分の1を乗じ、これに法定相続分の割合を乗じた額を、遺留分として請求できます。
本件は、相続人は、母と子の二人ですので、相談者の遺留分は、2分の1×2分の1=4分の1となります。
次に、遺留分侵害額請求の意思表示は、訴え提起や審判の申し立て等の裁判上の請求をする必要はなく、受遺者や受贈者に対して内容証明郵便等により裁判外での意思表示で行使すれば足りると解されています。
なお、遺留分侵害額請求は、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知った時から1年間行使しないときは、時効によって消滅しますので、時効期間に注意しながら請求をすることが必要です。
もし、裁判外で請求したにもかかわらず、全く解決しない場合には、地方裁判所に訴え提起をすることができます。
この点、改正前民法では、遺留分減殺請求によって、減殺の対象である遺贈等が遺留分権利者の遺留分を侵害する限度で失効し、当該財産についての権利が遺留分権利者に帰属するという物件的効果が生じるとされていましたが、平成30年の民法改正により、遺留分侵害額請求の意思表示によって、受遺者等に遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できることになりました。
そこで、既に内容証明郵便等で遺留分侵害額請求の意思表示をしている場合には、訴えの訴訟物は、金銭給付請求権となります。
では、遺産分割の調停や審判の申し立てをすることで、遺留分侵害額請求の意思表示をしたことになるのでしょうか。
この点、遺産分割の調停・審判は、遺言の有効性等を争い、各人の相続分を決めるのに対し、遺留分侵害額請求は、遺言の有効を前提として、侵害された遺留分の金銭給付を請求します。
したがって、遺産分割の調停等の申し立てと遺留分侵害額請求の意思表示は、前提事情が異なる場合があり、遺産分割の調停や審判の申し立てが、遺留分侵害額請求の意思表示を含むと考えることは困難な場面が多いと思われます。
ですので、遺産分割の調停等を申し立てる際も、別途遺留分侵害額請求の意思表示をしておく必要があります。



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