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「不動産売買契約と消費者契約法」・・・ 弁護士・吉川 愛

 ある不動産業者が開発した新築の分譲マンションを購入しました。マンションは眺望や風通しの良さを売りしていて、チラシなどにもそのように書かれていました。私はこの眺望を気に入って購入したにも関わらず、この契約について争うことはでこのマンションが建った直後に、向かいにマンションが建築予定ということで、入居してすぐに眺望を損なうということが分かりました。このことは契約時から当然業者は分かっていたと思います。この話を聞いていたら私はこのマンションを買わなかったと思います。契約についてなかったことにできないのでしょうか。

 結論から申し上げますと、状況によっては消費者契約法4条2項の適用により売買契約を取り消すことができます。
 消費者契約法は、消費者と事業者との間に情報の質や量、交渉力に大きな差があることから、消費者の利益の擁護を図るために平成13年に施行された法律です。この法律は、一般個人が不動産を購入する際にも適用されます。本件でも売主は事業主であり、購入者が自宅のために家を購入する所有者である場合、当然に消費者契約法の適用があります。
 消費者契約法は、契約に至る段階で、事業者の勧誘方法等に不適切な行為があり、このために消費者が誤認をし、この誤認によって契約の意思表示をしたというような場合には、消費者は契約を取り消すことができると定めています(法4条)。また、契約書における消費者の権利を不当に害する条項は無効となります(法8条)。
 ご相談の場合、売主側が勧誘時に眺望の良さを売りにしているにもかかわらず、入居後すぐ隣にマンションの建築が始まるということを知っていた、というような場合には、眺望の良さが近日中に客観的に損なわれてしまうことが明らかである事実を知っているにもかかわらず、これを伝えなかったということになります。そして、買主側は眺望の良さをうたったチラシを見て、眺望の良さを重要な事項ととらえて契約に至ったということになりますから、重要な事項を伝えられていないことにより、眺望の良さを得られるマンションであるということを誤信して契約に至ったと言え、消費者契約法4条の適用により、買主は契約の取消を主張できる、ということになります。
 ただし、消費者契約法はあくまで消費者を保護する規定です。もし相談者の方がこの不動産を賃貸目的に購入するような場合には、消費者契約法による保護を受けることはできませんので、注意が必要です。


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