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法律何でも相談

「よく考えて申し込みを!」・・・ 弁護士・吉川 愛


 美容院を経営する者です。開店中に、ホームページの整備やSEO(検索エンジン最適化)対策をすることにより、より集客が見込めるようになる、と言われ、はじめは忙しいので断っていましたが、何度も何度も訪問されることにより、最終的には申し込んでみる気になりました。
 しかし、申し込んだ翌日に改めて考えなおしたところ、自分の美容院には不必要だと考え、すぐに業者に連絡をしました。しかし、業者は、解約ができない契約になっている、の一点張りで、すでにローンを組んでいる状況ですので、来月から引き落としが始まります。どうにもならないのでしょうか。


   最近、上記相談に類似した相談が相当増加しています。本来、訪問販売などの営業スタイルは消費者の判断を鈍らせがちであり、消費者であれば特定商取引法や消費者契約法により、一定期間の間であれば無条件で契約を解除することができます。

 しかし、本件はあくまで事業者が事業のために契約をした、というものであり、簡単に特定商取引法や消費者契約法の適用を受けられる事例ではありません。ホームページ制作やSEO対策は、申し込みがあったとしても、すぐに取り消しをする場合、制作サイドに大きな損害が発生する内容のものではなく、契約を終了させたいと申込者が考えた場合でも、例外なく解除を認めないというのは極めて不均衡な状況と言えますが、契約時の条項に「解除ができない」と記載されており、その書類に契約者が署名捺印して申し込んでいる場合には、この条項を無効だと主張する法的根拠が今のところは整備されていません。

 中には、着手するまでは解除できる、と記載しているものもありますが、翌日に連絡しても、「すでに着手している」と言われて結局対応をしてもらえない、ということが散見されています。この契約を取り消すには、営業担当の説明に虚偽があったことを前提に詐欺取り消し、錯誤無効、債務不履行などを主張して契約の終了を訴えていくなどを検討することができますが、契約時または契約に至るまでの説明については証拠に残している人は少なく、立証が困難な状況となっています。

 事業主の皆様は、こういった事例が多くあるということを認識頂き、最終契約をする前にはまず冷静になり、必要と感じれば専門家に相談することをお勧めします。


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