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「面接交渉権」について・・・・・・・・・・・ 弁護士・水野賢一


 離婚して3年になります。離婚のとき,3歳の一人娘の親権者は母にしましたが,いつでも会えると思っていましたし,実際にも,私が「会いたい」と伝えれば会えていました。しかし,「再婚して娘も新しい夫の養子となったので,もう会わせられない」と言われました。親は子に会う権利があると思うのですが,もう娘には会えないのでしょうか。
 


 親権者でない親が,子と直接面接したり,文通などの間接的な方法で交流することを面接交渉と言います。そして,このことについて面接交渉権という言葉が使われていることから,「親は子に会う権利がある」と思われているようです。

 しかしながら,「親は子に会う権利がある」訳ではありません。裁判例などにおいては,面接交渉権の内容は,「親が子の監護のために適切な措置を求める権利」ととらえられています。したがって,子の福祉という観点から,離婚した父親と会うことなどが子の健全な育成を促進するものであるときに,面接交渉が認められることになります。

 ところで,親権者であった母が再婚し,子がその再婚相手と養子縁組した場合は,法律的にも現実的にも大きな変化が生じます。法律的には,母と養父とが子の共同親権者となり,親権者でなかった父は,親権変更の申立ができなくなります。現実的にも,再婚家庭での新たな生活が始まることになります。

 従来の裁判例では,このような環境の変化があったときには,面接交渉によって新たな再婚家庭の編成が阻害され,子の監護状況が安定しなくなる場合があるとして,原則として面接交渉を認めない傾向にありました。確かに,再婚家庭の安定は,子の福祉のかなうものです。子にとっては新たな父を得ることができたのであり,そこで健やかに成長できることが大切です。

 しかしながら,再婚家庭の編成の進行は,家庭によってそれぞれ異なるものであり,父との面接交渉が,必ずしも編成の阻害要因となるものではありません。子の年齢,成長の度合いを見計らいつつ,それに応じた面接交渉の内容を工夫することによって,再婚家庭の編成を阻害することなく,子の健全な育成を促すこともできるはずです。

 子の福祉を中心に据え,あなたと会うことが,再婚家庭の編成を阻害することなく,子の健全な育成を促すと言えるのであれば,子の監護のために適切な措置ということで,あなたが子に会うことを求めることができると思います。


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