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「ADR(裁判外紛争解決手続)」・・・・・・・・・・・ 弁護士・小畑雄一郎

 交通事故に遭いましたが、加害者側の保険会社との交渉が上手くいかず払ってもらえるはずの保険金の支払が滞っています。裁判をするほどの費用も時間もないのですが、何か良い解決方法がありますか?

 平成16年12月1日に裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律(ADR法)が公布され、平成19年4月1日から施行されました。
 ADRは、紛争を抱えた当事者が訴訟手続によることなく、公正な第三者の関与を得て民事上の紛争解決を図るための手続きです。

 ADRの特徴は、訴訟(裁判)に比べて@簡易(手続が厳格でなく当事者が手続を決められる)A迅速(一審制なので、三審制の裁判に比べ解決の時間が早い)B安い(比較的コストがかからない)C秘密性の保持(訴訟は原則公開だがADRは原則非公開)D専門性の確保(手続実施者に法律家以外の専門家を選任することも可能である)が挙げられます。

 質問は「交通事故」に関する紛争ですが、交通事故に関するADR機関は3つあります。@(財団法人)日弁連交通事故相談センターとA(財団法人)交通事故紛争処理センターとB(財団法人)自賠責保険・共済紛争処理機構です。

 Aは、自動車事故に伴う損害賠償に関する紛争解決を目的とするので、損害賠償額が確定できる状態でなければ原則として利用出来ません。ですから、現在治療中や後遺障害等級認定取得中というのであれば別のADRにしなければなりません。

 Bは、自賠責保険・共済の保険金、共済金の支払いをめぐる紛争解決が守備範囲なので、それ以外、例えば民間の任意保険の支払紛争だと使用できません。

 @は、広く交通事故の民事上の法律問題を相談内容としているので、自分が抱えている交通事故の問題がどのジャンルに該当するか不明な場合には、まず@に相談するのが良いと思います。質問にもどりますと、自賠責保険に関する支払紛争でしたらBの機関を、任意保険に関する支払紛争でしたら@を利用することになります。
 これら3つの機関とも、相談は原則無料で、相談員は交通事故に精通した弁護士なので、安心して自分の抱えている問題を打ち明けることが出来ます。

 以上、主に交通事故に関するADRを説明してきましたが、消費者問題・建築工事紛争・PL紛争・労使関係などの各分野のADRがありますので、これらの問題を抱えた場合には、ADRの利用も頭の片隅に入れておくとよいかもしれませんね。


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