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遺言について・・・・・・・・・・・ 客員弁護士・田村 達美

 最近遺言を残す人が増えていると言われますが、それでも作り方が面倒だとか、我が家に限って相続のトラブルはないはずだなどということで遺言がないまま人生の終末を迎え、その結果残された遺族が相続のごたごたに巻き込まれるというケースをよく見受けます。遺言は、ある人の生前意思を死後に実現し、無用な紛争を事前に防止する貴重な法律上の手段です。

 ここで遺言といっているのは、単に死ぬ前に残した言葉ということではなく、あくまでも法律上遺言として扱われるものを指しています。それでは、遺言を作るのにどういうことを心がけたらいいでしょうか。

 民法では、遺言を作るきまり(方式)がいろいろ定められています。その方式を守らない遺言は折角作っても有効と扱われなくなります。遺言には大きく分けて自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の三つの方式がありますが、今回はよく使われる前二者について説明しましょう。

 自筆証書遺言は、文字通りその全文、作成日付及び氏名を自筆で書き記しそれに捺印して作る遺言です(民法968条)。簡便で費用も掛かりませんが、ワープロでの作成や代書は認められません。書き損じの場合訂正印が必要ですし、死後未発見、改竄、隠蔽などのおそれがあるなど、いろいろ難点があります。弁護士に相談しないで作ると法律上問題を残す内容となることがあり、生前意思を実現できなくなる場合もあります。それに、この遺言が発見された場合家庭裁判所で遺言の状態を確認する検認という手続きが必要です。

 公正証書遺言は、遺言者が公証人の面前で遺言の趣旨を述べ、これを法律の専門家である公証人がよく吟味してその内容を筆記し、遺言者2名及び公証人がそれぞれ署名押印することにより作成されます(民法969条)。従って方式や内容が不適法で遺言が無効になるというおそれはなく、家庭裁判所の検認手続きも不要です。遺言者の原本は公証役場で20年間保存されますから、紛失、隠蔽、改竄、の心配は全くなく、遺言を作るには一番安全確実な方法であるといえます。作成に証人の立ち会いが必要なことや公証人に手数料(遺産額1千万円でおおよそ4万数千円程度)を支払うことを考慮しても遺言を作るのに最良の方式です。
 なお、公正証書遺言が作成されると、そのことが日本公証人連合会のデータベースに入力され、遺言者の死後相続人が公証役場を通じて検索できることになっています。

 遺言は、自分の思いを死後に伝える生と死の掛け橋であり、相続に伴う骨肉相食む紛争を防止するのに大いに役立つものです。いわば家族への思いやりの最たるものといえましょう。是非作ることをおすすめします。


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