■ Web版SUM UP


法律何でも相談

著作権 Q&A ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 弁護士・藤川綱之

Q.1

 社内会議で文献のコピーを使いたいのですが、何か問題はありますか。

A.1

 著作権法上の問題が発生すると考えられます。
 著作権とは、簡単に言ってしまえば、著作者が、自己の著作物を他人が利用することにつき、許諾又は拒否する権利ですが、著作権法によって保護されています。

 ご質問の文献も著作物と認められ、原則として、その使用には著作者の許諾が必要です。
もっとも、著作権法は、私的使用の範囲内でコピーする場合は、著作物の自由利用を認めていますので、社内会議に於けるコピーの使用が、私的使用と言えるかが問題となります。

 この点、私的使用とは、個人的使用、家庭内での使用、その他これに準ずる限られた範囲内に於ける使用と定められており、裁判例上、企業等の団体が業務のために行うコピーは、私的使用ではないとされています。

 なお、私的使用目的であっても、コピー業者に等にコピーを依頼した場合は、コピー業者自身がコピー主体となり、私的使用とは認められないので注意が必要です。

 もっとも、コピー機の発達、普及に伴い、社会全体でコピーが大量に行われている状況の中、著作権者の利益の保護と著作物の円滑な利用の調和が図られていないという実態があるようです。

Q.2

 社内新聞で雑誌の切り抜きを使いたいのですが、何か問題はありますか。

A.2

 雑誌の切り抜きも著作物と認められますので、原則として、著作権者からの許諾が必要であることは、前のご質問と同様です。

 もっとも、著作権法上、公表された著作物は、出所を明示した上、正当な範囲内で引用して利用することができるとされていますので、当該社内新聞での使用が、正当な範囲内での引用に当たるかが問題となります。

 まず、引用とは、他人の著作物が自己の著作物に吸収、同化され、その独立性を主張することができなくなるような場合を言いますので、他人の著作物のつぎはぎに過ぎないような場合には、単なる転載で、引用には該当しません。

 そして、裁判例上、引用部分が他の部分と明瞭に区別でき、前者が従、後者が主という関係にある場合、正当な範囲内での引用とされているようです。

 よって、社内新聞のごく一部分に切り抜きを用い、その他の記事部分の方が多いような場合には、著作権侵害となることはありません。

 なお、出所の明示をする際には、読者や聴取などに引用された著作物の題号や著作者名等が明らかに分かるような表示が必要です。引用部分に引き続いて出所を明示するのがよいでしょう。


[ TOPページ ]  [ 業務内容・費用 ] [事業所案内 ] [SUMUP ] [ お問い合せ

  (C)Copyright AKASAKAMITSUKE SOGO LAW &ACCOUNTING OFFICE. All rights reserved.