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特    集

「身近になるFintech法」・・・弁護士・齋藤崇史

 今回は、仮装通貨に対応する、いわゆる改正Fintech法と、拝読いただく皆様にとって、身近なツールとして実用化されつつある「個人間決済」をテーマとしました。
「FinTech」とは、Finance(金融)× Technology(技術)として、金融とIT技術を掛けあわせた造語です。現在では、IT技術の進歩、スマートフォンやアプリの普及により、手軽に利用できるFintechサービスが充実しております。資金決済、資産運用や数百種類に及ぶ仮装通貨の創設など、具体的なサービスが開始され、実用化されるに至っています。
 もっとも、新しいサービスは、違法取引、違法決済、マネーロンダリング、テロ資金などに利用される危険性があることから、これらに対応して、2016年5月「資金決済に関する法律」及び「犯罪による収益移転の防止に関する法律」などを改正する、いわゆるFintech法が成立し、2017年4月から施行され、これにより、仮装通貨に対する法規制がなされました。
「仮装通貨」とは、改正資金決済法2条5項によれば以下である。
この法律において「仮想通貨」とは、次に掲げるものをいう。
一 物品を購入し、若しくは借り受け、又は役務の提供を受ける場合に、これらの代価の弁済のために不特定の者に対して使用することができ、かつ、不特定の者を相手方として購入及び売却を行うことができる財産的価値(電子機器その他の物に電子的方法により記録されているものに限り、本邦通貨及び外国通貨並びに通貨建資産を除く。次号において同じ。)であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
二 不特定の者を相手方として前号に掲げるものと相互に交換を行うことができる財産的価値であって、電子情報処理組織を用いて移転することができるもの
 仮装通貨の時価総額のうち約9割を占めるのが「Bitcoin」(BTC)です。
BTCの世界最大の取引所であったMTGOXの破綻と取締役の横領が大々的にニュースで報じられたため、仮装通貨やブロックチェーンに対する不安や誤った印象を持たれている方も多いと思います。しかし、BTC自体やブロックチェーンの技術には現状、何ら問題はなく、管理者となる国家の信用不安、金融危機に左右されない通貨として、今後の発展が期待されています。むしろ今後私たちの私生活上の取引を、より便利にしていく可能性があます。
 BTCには「パブリック型ブロックチェーン」という管理者を不要とする技術が採用されています。 例えば、日本では、日本円の発行体である中央銀行(日本銀行)が存在し、各銀行に対して通貨を発行している。そのため、日本円の流通量は日本銀行が把握している。また、Suicaなどの電子マネーにおいては、発行体であるJR各社などが出入金を管理している。
しかしながら、BTCは、パブリック型ブロックチェーンの技術を用いることで、前期の日本銀行やJR各社のような管理者を不要としている。
 取引参加者は秘密鍵と電子署名により取引を行い、BTCが、A→B→Cと流通した場合、約10分ごとに1つのブロックとしてまとめられる。そして、各ブロックごとに検証作業がなされ、検証を経た新しいブロックは前のブロックに連結される。この作業が常時繰り返され、全ての取引が同一の台帳に記録され、P2Pネットワーク参加者に共有される。取引記録を改竄しようとするならば、改竄する時点以降のブロックについて、現在進行中の正しい取引記録と同様の検証作業を、正しい検証作業以上の処理速度で改竄し続けていくことが必要であるため、いずれ破綻することが容易に想定されるので、取引記録の改竄が現実的に不可能である。これが、ブロックチェーン技術の利点である。
 もっとも、BTCは既に流通しているが、いまだ投機対象の側面が大きいです。これに対して、皆様の身近なツールとしてサービスインしているスマートフォンアプリなどによる「個人間決済」が登場しています。
 従来、送金などの資金移動を行う者は、資金決済法に基づく内閣総理大臣の登録を受ける必要がありました。しかし、Fintechベンチャーによるスマホアプリ(Kyashやpaymo)により、アプリ内で個人間での少額決済を行うことが可能となっています。既にSuicaやアマゾンなどの企業対個人の電子マネーによる決済は普及しているが、個人間での送金が今後普及していくと思われます。
 もっとも、個人間決済用のスマホアプリ内での資金決済であり、当然にアプリ提供サービスを行う企業が、管理者を務めています。
 今後、今回紹介したパブリック型ブロックチェーンの技術を応用した個人間決済が登場するなど、さらなる技術の発展により、私生活の中でFintech技術がより身近なサービスとして展開されていくことと思います。拝読いただく皆様には、今後サービスインされるFintechなどの、より良い新たなサービスに対してアレルギーを持つことなく、利用していただければと願う所存であります。その際、不安に思うこともあるかと存じますので、その際は弊事務所に御相談いただければと存じます。

 


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