■ Web版SUM UP



特    集

「公益通報者保護法」・・・・・・・・・・弁護士・上田裕介

1 本年4月1日に、公益通報者保護法が施行されました。公益通報者保護法とは、公益のために通報を行った労働者に対し、解雇等の不利益な取扱いを禁止する法律で、内部通報による企業の不正発覚が相次いだことを受けて、通報者保護を法制化したものです。

 同法の施行に伴い、内閣府は、企業内部に従業員からなされた通報に対していかに対応するかを示す指針として、「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン」を策定しました。
 同ガイドラインでは、内部通報制度を適切に構築・運用することの必要性が謳われています。
 通報者の保護及び内部通報制度の確立は、企業の浄化に繋がるため、同法は、企業の自浄作用の形成を促す法律と言えます。

2 企業内部でも、横領、背任等の刑事事件や、虚偽事実の申告により現場の実態が経営サイドに伝わらない等の問題が生じ得ます。

 一方で、これら問題の発覚の端緒の一つである内部通報は、多くの場合通報者にとって大変勇気の要ることであり、また、仮に通報があったとしても企業内部で揉み消されてしまう可能性があります。

 実際に、新聞報道等においても、社員からの内部通報に対し疑問の残る対応をしてしまったことから、会社に対する捜索差押えや社員に対する逮捕に発展した事件が紹介されています。
 社内の自浄作用を十分に働かせなければ、このように、最悪のケースでは、刑事事件にまで発展してしまいます。社内でのコンプライアンス(法令遵守)の意識の涵養、及び、内部通報制度を適切に構築、運用することが重要です。

3 ここで、内閣府の出している同ガイドラインに則り、また、それ以上に充実した、内部通報制度を適切に構築・運用することが、企業の自浄作用を高める結果に繋がることと思われますので、以下では、同ガイドラインの中身等について簡単にご説明致します。

 同ガイドラインでは、企業内での通報処理の仕組みを整備することの必要性が謳われています。ごく簡単に述べれば、通報の受付、調査、是正措置の実施というシステムを適格に作り上げることです。
 通報処理の仕組みを整備することにより、企業内部の問題の早期発見・解決が可能となると思われます。
 かかる通報処理において重要なのが、通報者の秘密を守ること、及び、内部通報をしたことによる通報者に対する不利益の回避です。通報者を保護しなければ、適時、適格な通報を期待することはできません。

 同ガイドラインにおいても、通報の受付、調査の実施等において通報者の個人情報を保護することの必要性が記載されています。また、通報処理の終了後においても、通報者保護についての十分なフォローアップが必要とされています。

 また、同ガイドラインでは、通報処理の仕組みの内容やコンプライアンスの重要性について、社内広報の実施や研修の実施等により、社内周知を図ることの必要性も記載されています。
 かかる公益通報は、どうしても社内の通報窓口では言いにくいという性質も持っています。
 そういった観点から、企業の外部に通報窓口を設置することも考えられます。外部の通報窓口には法律事務所等への委託も考えられ、法律事務所が通報事実に対する調査に関与することも考えられます。

4 公益通報制度の導入は、企業の自浄作用を高め、コンプライアンス(法令遵守)を強化させることにつながることはもちろんのこと、労働者からの信頼の確保や、第三者への通報による風評被害発生のリスクの減少、企業に対する社会的な信頼にも結び付きます。

 公益通報者保護法の施行に伴い、社内環境を再検討されるのも一案かと存じます。


[ TOPページ ]  [ 業務内容・費用 ] [事業所案内 ] [SUMUP ] [ お問い合せ

  (C)Copyright AKASAKAMITSUKE SOGO LAW &ACCOUNTING OFFICE. All rights reserved.