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特    集

会社法大改正 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弁護士・松村 博文

平成17年3月22日、会社法案が、国会に提出され、一部修正の上、同年5月17日、衆議院本会議で可決、参議院に送付されました。現段階では、法案は成立していませんが、施行は、平成18年4月が見込まれており、法案は、977条からなっており、その内容も、非常に重要なことが多く、今後の、会社経営においても、法改正を前提として行動すべきことが多々あると思われますので、今回、特集で取り上げることとしました。法案成立の際には、再度、ご報告する予定でおります。

 法案は、@会社法制の現代語化とA実質改正を基本的な方針としております。

 今回は、Aの実質改正のうち、株式会社に関する規定を中心に述べます。実質改正は、会社に係る諸制度間の規律の不均衡の是正等を行うとともに、最近の社会情勢の変化に対応するため、会社法制の現代化にふさわしい内容への実質改正です。

 第1に、現行の株式会社と有限会社を統合し、株式会社として規律します。但し、従来設立された有限会社は、経過措置が設けられ、特例有限会社となります。

 第2に、株式会社の機関設計の規律の柔軟化を図ることとしました。

 具体的には、全ての株式会社には、株主総会のほか、取締役会を設置し、取締役会を設置した場合としない場合とで、規制が異なることになります。

 取締役会を設置する場合には、監査役又は三委員会等(指名委員会、監査委員会、報酬委員会、執行役)のいづれかを設置しなければなりません。但し、大会社以外の株式譲渡制限会社において、会計参与(公認会計士又は税理士で構成)を設置している場合には、この限りではありません。

 最低資本金制度は、下限がなくなりました(1円以上)。但し、純資産額が300万円未満の場合には、剰余金があっても株主に分配できません。

 取締役会の決議の目的である事項につき、各取締役が同意をし、かつ、業務監査権限を有する監査役が設置されているときで、各監査役が特に意見を述べることがないときは、書面又は、電磁的方法による決議をすることができる旨定款で規定できるようになりました。

 監査役は、原則として、業務監査権限及び会計監査権限を有します。但し、大会社以外の株式譲渡制限会社においては、定款で会計監査権限に限定することができます。
 組織再編(合併等)についても、緩和が図られるようになりました。具体的には合併の対価につき、金銭や親会社の株式等も対価となりうることとなりました。また、簡易合併の基準も株式の20%以下まで株主総会決議が不要となりました。

 さらに、株主の権利行使に関して直接利益供与をした取締役等の無過失責任化、株主代表訴訟の制限規定の明確化が図られています。

 敵対的買収に関して、買収者が一定割合以上の株式を買い占めた場合に、株主の判断にかかわらず、自動的に株式が発行できるような新株予約権の発行ができるようになりました。又、定款で相続及び合併による譲渡制限の定めのある株式(いわゆる合併などに拒否権を持つ特殊な優先株など)の移転についても承認の対象とする旨定めることができ、買収側の悪用を防ぐことができるようになりました。

 合併等の決議要件も引き上げることができます。これらを上手に利用することにより、敵対的買収の防止が図られることになります。

 決算については、決算公告が義務づけられています。

以上、概略を述べましたが、今後も、関連法案の整備を含め、注意深く見守る必要があると思います。


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