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特    集

『労働問題』 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弁護士・河井匡秀

1 はじめに
 景気は回復傾向にあるとはいえ、未だ不況が続いています。平成16年版厚生労働白書によれば、有効求人倍率は0.77%、完全失業率は4.7%となっており、厳しい水準が続いており、雇用問題、リストラ等が社会問題となっていることは現在においても変わりません。そこで、今回の特集では、解雇、残業代の請求等の労働問題を取り扱ってみたいと思います。

2 解雇に関する法的な制限
 以下のような場合には、解雇はできないこととなっています。
 @ 業務上の傷病による休業期間及びその後の30日間
 A 出産前後の女子の休業期間及びその後の30日間
 B 国籍、身上、社会的身分を理由とする解雇
 C 労働基準法違反の事実を労働基準監督署等に申告したことを理由とする解雇
 D 労働組合の活動を理由とする解雇
 E 労働者が女子であることを理由とする差別的取扱
 F 女子が婚姻、妊娠、出産等により休業したことによる解雇
 G 育児休業を理由とする解雇
 また、解雇が法令に違反していない場合でも、解雇権の濫用に当たる場合は、解雇は無効になります。
 更に、使用者が労働者を解雇しようとする場合、少なくと30日前にその予告をしなければならず、30日前に予告をしない場合は、30日分以上の平均賃金支払わなければなりません。

3 整理解雇
 使用者側の経営事情により生じた従業員削減数の必要性に基づいて、一定数の労働者を解雇することを整理解雇といいます。
 整理解雇が有効とされるためには、判例上、@人員削減の必要性が存在すること、A解雇を回避するための努力義務がつくされていること、B解雇される者の選定基準が合理的であること、C解雇手続が妥当であること、という4つの要件が満たされる必要があるとされています。これらの要件を満たさない場合、整理解雇は解雇権の濫用となり、無効となります。

4 懲戒解雇
 企業の秩序を乱したこと等に対する制裁としての解雇が懲戒解雇です。
 懲戒解雇が有効とされるためには、
 @懲戒事由と懲戒手段が就業規則に明定されていること
 A懲戒解雇事由の規定内容が合理的なものであること
 B同様の事例と比較して平等な取扱であること
 C懲戒解雇処分が規律違反の種類、程度に照らして相当なものであること
 D本人に弁明の機会を与えたり、手続において適正であること
 という要件が必要であるとされています。これらの要件を満たさない場合、懲戒解雇は解雇権の濫用となり、無効となります。

5 残業代の請求
 労働者が労働義務を負い、使用者がその労働義務の履行に対して賃金支払義務を負う時間を所定労働時間といい、通常、就業規則により定まっています。この所定労働時間を超える労働をいわゆる残業といいます。
 この残業についても、当然に使用者の賃金の支払義務が発生します。また、法定労働時間(1日8時間、1週間40時間 労働基準法32条)を超えた時間外労働に対しては、通常の労働時間または労働日の賃金の25%以上、休日労働については35%以上の割増賃金を支払わなければならないとされています。また、時間外労働が深夜労働になる場合は割増率は50%以上、休日労働が深夜労働になる場合は割増率は60%以上になります。  解雇されたときに、それまで請求していなかった残業代を請求することもできます。

6 まとめ
 これらの問題を解決するために、労働基準監督署、労政事務所に相談したり、労働組合がある場合は、労働組合と連携して団体交渉を行ったり、労働委員会を活用することもできます。また、裁判所に地位保全の仮処分や解雇無効の訴訟、残業代を請求する訴訟を提起することもできます。
 いずれにしても、これらの問題が発生した場合には、弁護士に相談することをお勧めします。


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