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特    集

『交通事故 』・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・弁護士・河井匡秀

今回の特集は、交通事故にまつわる法律問題を取り上げます。平成14年版交通安全白書によれば、平成13年に交通事故は97万7169件も発生しており、死傷者数は118万9702人にも上ります。もちろん、交通事故を起こさないようにすることが最も重要ですが、誰でも被害者にも加害者にもなる可能性があり、いざというときのために、交通事故に関する法律知識は非常に重要になっているといえます。

1 被害者の立場から
交通事故の被害に遭ったとき、被害者にはいろいろな損害が発生します。傷害を負ったり、死亡したり、後遺症が残ってしまう等の人的損害や、乗用車を壊されたり、積み荷が壊れたりする物的損害です。このような損害の賠償を請求できる相手方は、故意または過失によりその事故を起こした直接の加害者(民法709条)は当然ですが、その加害者の使用者(民法715条)、自動車の運行供用者(自動車損害賠償保障法3条)に対しても、損害の賠償を請求できます。

 賠償を請求できる損害は、人的損害の場合は、主に以下のものがあります。

 [1]治療費 必要かつ相当な実費全額が認められます。
 [2]入院雑費 入院1日につき3000円程度認められます。
 [3]通院交通費 タクシー利用が相当とされる場合以外は電車やバスの料金、自家用車を利用した場合は実費全額が
   認められます。
 [4]休業損害 事故前の収入を基礎に、受傷によって休業したことによる現実の収入減が認められます。
 [5]死亡した場合の葬儀費用 原則として150万円程度認められます。
 [6]装具・器具等購入費 義手義足、松葉杖、車椅子等、必要があれば認められます。
 [7]後遺症が残った場合の逸失利益 原則として、被害者の事故前の収入を基礎に、労働能力喪失率、労働能力喪
   失期間(原則として67歳まで)を掛け合わせ、年5%の割合の中間利息を控除することにより算出します。
 [8]死亡した場合の逸失利益 原則として、被害者の事故前の収入を基礎に、就労可能年数(原則として67歳まで)を
   掛け合わせ、30〜50%程度の生活費分、年5%の中間利息を控除して算出します。
 [9]慰謝料 傷害を負った場合には入通院の期間で定まりますが、30〜350万円くらいが認められているようです。死
   亡した場合は、亡くなった方の具体的な事情を考慮して定まりますが、3000万円くらいの場合が多いようです。後
   遺症が残った場合は、後遺症の等級(1級〜14級)により定まります。

  これらに記載したものは、もちろん一応の目安にすぎず、具体的事情によって増減することは当然あります。
  物的損害の場合は、具体的事情に応じて、修理費、買替差額、評価損等が認められています。代車使用料が認めら
 れる場合もあります。なお、物的損害のときは、原則として慰謝料は認められていません。
  このほかに、損害賠償請求を弁護士に依頼する場合、弁護士費用のうち認容された損害額の1割程度を加害者に負
 担させることができます。
  このように損害が発生した場合でも、事故態様によっては、被害者側にも事故の発生につき一定の過失が認められる
 ことがあります。この場合には、被害者側の過失割合に応じた過失相殺により、損害額が減額されることになります。

2 加害者の立場から
  平成14年版犯罪白書によると、92万9593人が交通法規違反を犯し、うち8割以上が起訴されています。交通事故を起こして傷害や死亡の被害を発生させた場合、それぞれ業務上過失傷害罪(刑法209条)、業務上過失致死罪(刑法210条)となります。物的損害を発生させた場合は、故意の場合は器物損害罪(刑法261条)となりますが、過失の場合は犯罪とはなりません。交通事故を起こした場合、負傷者救護義務、警察への報告義務が発生します(道路交通法72条)。これに違反したときは、いわゆる「轢き逃げ」になり、非常に重い罰則が科されることになります(道路交通法117条、117条の3)。

  また、道路交通法等の交通法令に違反した場合には、行政上の処分として、免許の取消、停止等の処分を受けることになります(道路交通法103条、103条の2)。

  更に、民事上の責任として、先ほど述べたように、運転者、その使用者、自動車の運行供用者等は、被害者に対する損害賠償責任を負うことになります(民法709条、715条、自動車損害賠償保障法3条)。

  自動車損害賠償保障法は、自動車保有者の強制的な責任保険制度を設けています(同法5条以下)。しかし、先ほど述べたように、人的損害を発生させたときには、場合によっては非常に高額な損害賠償責任を負うことになり、いわゆる自賠責保険では全ての被害者の損害を填補できないことが多いのが実情です。従って、万一のときのためにも、被害者の損害を填補できるだけの任意保険に入っておくことが必要です。


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