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借金が返せない!〜破産 ・・・・・・・・・・・ 弁護士・持田秀樹

長引く不況の影響で、自己破産の相談が多くなっています。司法統計によると、平成12年度の破産宣告件数は14万3408件であるのに対し、平成13年度は16万4521件と急増しており、本年度は、さらにこれを上回ることが確実視されています。

 破産を簡単にいうと、借金を返せなくなった場合に、財産を換価して債権者に分配する手続ということです。ですから、法律の予定している破産手続の典型は、破産管財人を選任して、破産者の財産を換価し、債権者に配当するという手続です。しかし、破産手続をまかなうだけの財産を持っていない破産者には、わざわざ破産管財人を選任して財産を調査する必要はないので、同時廃止という破産管財人を選任せずに破産を終了する手続もあります。もっとも、多くの裁判所では、会社など法人の破産の場合には、同時廃止を認めていません。その代わり、東京地方裁判所などでは、換価する財産がないかあってもごくわずかな場合などは、管財人の負担を軽減し迅速に破産手続を終えることのできるように、管財手続を簡素化した少額管財という手続が用意されています。

 会社がついに破産をする場合、経営者にとってもっとも気がかりなのは、これまで苦楽をともにしてきた従業員の給料のことでしょう。原則として、破産宣告の前に、従業員を全員解雇し、給料を支払っておくべきです。給料などの労働債権は、破産手続において優先的に扱われるとはいえ、税金などに比べて優先順位が劣りますし、配当時期が先になってしまうからです。とはいっても、中小企業が破産をする場合、給料も支払うことができないのがほとんどだと思われます。このような場合に備えて、労働福祉事業団が未払賃金の立替払いをする制度があります。

 ここまで、法人、特に中小企業の破産を念頭に置いて説明しましたが、冒頭に記した破産件数のうち、約95%が個人破産ですので、件数としては法人に比べて個人が圧倒的に多いことが分かります。

 個人破産の場合であっても、財産がある場合は、裁判所から破産管財人が選任され、財産をお金に換えて債権者に分配することになります。ただし、個人破産の場合は、ほとんどの場合、前に述べた少額管財手続になるものと思われます。また、少額管財手続は、換価の容易な財産が見込まれる場合の他、浪費や信用状態を偽って借金をしたときに、裁判所が免責(破産債権の負担を免れること。つまり借金をチャラにすること。)の許可をすべきかどうか詳しく調査する必要がある場合や、給料が差し押さえられそうなときに、これを回避するためにも利用されています(もともと、少額管財手続はこのような個人のための制度でした。)。

 破産で問題となる個人資産の主なものとして、住宅、生命保険解約返戻金、退職金などが考えられます。住宅の場合は、破産手続の中でこれを売って、換価することになります。しかし、住宅ローンの残高が住宅の時価の1.5倍を超えるような場合には、明らかに配当が見込まれませんので、他に財産がなければ、同時廃止を申し立てることができます。生命保険解約返戻金や退職金請求権がある場合には、返戻金相当額、退職金の見込額の8分の1相当額を破産財団に組み入れることを破産管財人から求められることになるでしょう。

 一方、同時廃止の場合は、東京地裁本庁では、申立のその日に破産宣告をする扱いとなっています。破産申立と同時に免責を申し立て、特に問題がなく、順調に手続が進めば、破産宣告からおおむね1か月後に免責審尋期日(免責を許可するかどうか判断するために、裁判所が破産者から事情を聞く手続のこと。)が開かれ、さらに1か月後に免責決定がなされ、それからさらに約40日で免責決定が確定することになります(以上は東京地裁本庁の場合です。他の裁判所の場合、期間は多少延びます。)。ここで注意しておきたいことは、免責の効力が生ずるのは、免責決定が確定した後だということです。従って、債権者が確定判決や公正証書を持っているような場合、免責決定確定までは、給料などを差し押さえられて、強制的に取り立てられる可能性があります。このような危険がある場合は、予納金は高くなりますが少額管財事件として扱ってもらった方がよいでしょう。

 個人が破産をした場合のデメリットとして、信用情報(いわゆるブラックリスト)に登録され、7年間くらいは、銀行やクレジット会社、消費者金融業者からお金を借りることができないということがあります。これにつけ込んで、一部の金融業者は破産者に対して、ダイレクトメールを大量に送ってきます。そのようなダイレクトメールには、「ブラックでもOK。」「簡単独自審査。人柄重視。」「30万円まで審査通過」。などと書いてありますが、このような業者から借金をするのは絶対に止めてください。これら業者は、10日で3割も5割も利息を取る暴力金融、闇金融業者です(夕刊紙などに広告を載せている業者もほとんどそうだと思ってください。)。破産者にお金を貸す業者がまともな業者でないことは、少し考えれば分かることです。


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